臨床研究班

足の外科班

足部・足関節のトラブルは、整形外科では非常にポピュラーな疾患で、当科の一般外来でも数多く治療しております。しかし、治療を受けていてもなかなか治らない足の症状や、手術が必要になるもの、専門的知識が必要な特殊な疾患もあり、それらは「足の外科外来」で治療を担当しております。

扱っている疾患は以下のようなものです。

  • 先天性内反足、垂直距骨などの先天性の変形
  • 外反母趾、強剛母指、変形性足関節症、リウマチやポリオの足部変形、扁平足などの後天性の変形
  • フライバーグ病などの骨端症
  • 外脛骨障害、三角骨障害などの過剰骨の障害
  • 足関節外側靱帯損傷(靱帯不全)、踵骨骨折、距骨骨折、距骨滑車骨軟骨損傷、アキレス腱断裂(陳旧例を含む)、腓骨筋腱脱臼などの足部・足関節外傷
  • 麻痺足
  • 足の腫瘍
  • 足のスポーツ障害

代表的な疾患の治療法

外反母趾

外反母趾では、母趾の変形や痛みだけでなく、扁平足、開張足などもみられ、薄く幅の広い足になります。第2趾の変形(母趾の上に乗る)もでることがあります。たんに幅の広い靴を履いたり、鼻緒の履き物にしたりすることでは、痛みは多少軽くなっても変形は解消できません。変形を放置すると徐々に悪化して、母趾の柔軟性も減ってきます。また、踏みかえしが弱くなり、疲れ易くなります。

外反母趾

こうした変形は、足のアーチを再現することによって軽減することができます。

変形写真

荷重したところ

【荷重したところ】
足の幅が広く、扁平。母趾は内側に回旋しています。

〈矯正してアーチをつけたところ:徒手矯正位〉

【矯正してアーチをつけたところ:徒手矯正位】
足の幅が狭くなり、とても良い形態になっています。
母趾は正面を向いています。

このように多くの外反母趾は徒手矯正がある程度おこなえることから、足のアーチを装具で支えることによって症状を軽減することができます。  当科では、これまでに特別の治療を受けたことがない方や、足の痛みは解消したいが手術は考えていない場合には、靴や中敷き(インソール)を処方しており、概ね好評です。装具には健康保険が適応でき、申請すれば7〜9割が返ってきます。  

また、変形が強く、頑固な痛みのある方には手術を行っています。当科では外反母趾の成因についてCTを用いた三次元的な検討を行っており、その研究結果を基礎として、回旋や扁平足の矯正も考慮し、本来の足の形(徒手矯正位)に近づける、強固に固定して早く歩けることなどを目標として、三次元骨切り術を開発し、行っております。

手術前〉足の幅が広く、扁平。母趾は内側に回旋しています。

【手術前】
足の幅が広く、扁平。母趾は内側に回旋しています。

〈手術直後〉母趾の向き、足の横幅、アーチなどに注目してください。

【手術直後】
母趾の向き、足の横幅、アーチなどに注目してください。
たこ、うおのめはなくなり、自然な形の足になりました。

当科で開発したプレートで手術を行っています。
プレートは足の裏側の筋肉の下に隠れるので、外からは触れず、違和感はありません。
このプレートは当院以外の多くの大学病院や施設で使用されています。

  • 手術は入院の上、十分な麻酔の元に行われます。
  • 術直後は神経ブロックや硬膜外ブロックなどで、痛みをコントロールします。
  • 翌日から踵の歩行は短距離なら可能です。1週から図のような黒い履き物で短距離の歩行を開始します。
  • 杖が上手なら早期退院が可能ですが、当院での手術は年配で進行した方が多いので、2週目で図のような装具プラスチックの装具ができてから退院する方が多いようです。

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変形性足関節症

足関節の痛みを生ずる疾患のひとつに、変形性足関節症があります。大きな怪我の後に発生するものもありますが、中高年で特に原因はなく発症することもあります。日本人や韓国人など、東洋人に多いとされています。
 当科では、足底板などの装具療法を行い、効果の少ない場合には、手術を行っております。手術は、関節の動きの保たれているものには矯正骨切り術を、進行して固くなったものには関節固定術を中心に行っています。

変形性足関節症

立った状態のレントゲン像:関節の下側の骨(距骨)が傾斜していて、内くるぶしを突き上げるように体重がかかっています。

変形性足関節症
矯正骨切り術後:痛みはほとんどなくなり、経過良好な方です。
成人期扁平足

子供の頃からの扁平足は、年齢が高くなっても問題のない場合が多いですが、大人になってから扁平足が強くなる病気もあり、痛みを伴います。そのような場合、幾つものも医療機関を受診しても診断がつかないことがあります。

成人期扁平足

 これは内くるぶしの内側の腱(後脛骨筋腱)が傷んだ結果発生した扁平足です。内くるぶしの周囲が腫れていて、後ろの方を押すと痛みがあります。 「後脛骨筋腱機能不全」という、比較的珍しい病気です。50歳以降の女性に多く、つま先立ちをする動作で痛かったり、力が出なかったりします。日本人では装具療法などで改善する人もありますが、進行してくるならば手術が必要です。放置すると足が硬くなってしまい、痛みも強くなります。

成人期扁平足
右足では爪先立ちが不可能です。

当科では、新しい骨切り術を取り入れて治療しており、著しく進行していなければ、多くの場合良好な経過が得られます。

強剛母趾

強剛母趾は母趾の付け根の関節(MTP関節)の変形性関節症です。母趾MTP関節の背側に骨の隆起を触れ、圧痛と可動域制限を認めます。特に背屈時の疼痛が特徴で、外反母趾ではありません。診断はレントゲンで行います。
 治療は痛みが生じないように母趾が反りにくい足底板、ロッカーボトム型の特殊な靴を作成します。痛みが強く歩行など日常生活に支障を来す場合は手術が必要になります。
 当科では、強剛母趾の病態をCTで詳細に評価する研究を行っており、それに基づき手術方法を決定しております。主に関節内背屈骨切り術など、人工の関節で置換せずに自分の関節を温存する手術を行っております。また、変形が強い症例には関節を固定する手術を選択しております。

強剛母趾

陳旧性アキレス腱断裂

陳旧性アキレス腱断裂は、一般的に怪我をしてから4週間以上が経過しているにもかかわらず、断端間の連続性が得られていない状態をいいます。
原因は様々で、アキレス腱断裂の手術後の再断裂、ギプスによる保存加療後の再断裂、見逃し、つまづいたなどちょっとした外傷で部分断裂を生じ、気づかずに徐々に切れてしまった変性断裂などです。変性断裂は50歳代以降に発生し、これと一致するように老化架橋が増加していることを我々はアキレス腱のコラーゲン分析を行い、明らかにしております。陳旧性アキレス腱断裂では、つま先立ちや走ったりすることができないため手術が必要です。手術は、主に下腿三頭筋腱膜などの自分の組織を用いた腱再建術を行っております。

先天性内反足

先天性内反則

※ 右が患側

Ponseti法によるギプス矯正を行い、必要な症例にはアキレス腱切腱術を行っています。(http://www.global-help.org/publications/books/help_cfponsetijapanese.pdfに安井先生が翻訳された本法の詳細が掲載されていますので、ご参照ください。)

従来はギプス矯正をした後も手術療法が必要になることが多かったのですが、大がかりな手術では形態は矯正できても、硬く柔軟性の少ない足になってしまうことがありました。
 Ponseti法では、アキレス腱を切ること以外には手術を必要としないことがほとんどで、治療後には柔らかく力強い足になってくれることが多くなりました。
アキレス腱はメスで切ってしまっても、乳児ではすぐに問題なくつながります。

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陳旧性の外側靱帯損傷(靱帯不全)

足関節の捻挫を繰り返すと、外側靱帯が不安定になり、十分なスポーツ競技ができなくなったり、日常生活の中でも頻繁に捻挫するようになることがあります。
 当科では、基礎的研究に基づいて、解剖学的靱帯再建術を行っています。従来の方法では足関節の可動域と安定性の両立は難しい面がありましたが、この方法では良好な成績が得られております。

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附属病院(本院)専門外来

足の外科外来
金曜日 午前9:00~、午後1:30~
診療スタッフ
窪田誠 診療医長 窪田誠 准教授
非常勤 診療医長
(昭和62年 山口大卒)
  • 日本整形外科学会認定整形外科専門医
  • 日本整形外科学会認定スポーツ医
  • 日本足の外科学会 評議員
田口哲也 診療医員 田口哲也 診療医員 (平成6年 慈恵医大卒) 
  • 日本整形外科学会認定整形外科専門医
  • 日本整形外科学会認定運動器リハビリ医
  • 日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
  • 日本足の外科学会 評議員
服部英和 診療医員 服部英和 診療医員 (平成15年 慈恵医大卒) 
  • 日本整形外科学会認定整形外科専門医

初診の方は、かかりつけ医療機関に紹介状の作成とFAX予約をご依頼いただくとスムーズな受診が可能となります。
なお、再診に関しましては予約制となっております。

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